ARコンテンツと開発プロセス(WebAR)
AR-1aで作成したサンプルプログラムでは、マーカーの上に青い箱が表示されていました。
ARではコンテンツ(以下、ARコンテンツ)として、何を表示できるのでしょうか。
ARコンテンツでは、テキスト、画像、動画、音声、3Dモデル等様々なものを表示することができます。
特に3Dモデルは様々な角度から観察をすることができるため、ARの1回目で紹介したGoogle:Expeditionのように立体を表示させ、観察するという利用が考えられます。
3Dモデルを利用した教育実践例としては、下記のような事例があります。
Personalized augmented reality for anatomy education
Meng Ma, Pascal Fallavollita, Ina Seelbach., Anna Maria Von Der Heide, Ekkehard Euler, Jens Waschke, Nassir Navab.
Clinical Anatomy, Volume29, Issue4, Pages 446-453
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ca.22675
この研究とは胃や心臓等などの3Dオブジェクトを自分の体に埋め込まれたかのように表示することができます(論文に記載されているイメージ画像を見るとわかりやすいです)。各臓器や血管はその人の体格等に合わせてパーソナライズされた形で表示され、臨床の学習に役立てることができます。
現在は写真を元に3D作成をモデルするサービスや3Dモデルを容易に作成できるGoogleのサービス「Poly」等を利用することで容易に3Dモデルの作成ができますが、それでも作成には手間がかかります。
そのため、ARを利用するとしても、本当にARとして実装する必要があるのか(ARとして実装することで本当に学習効果を高められそうか)を事前にしっかりと考える必要がありそうです。特に3Dモデルの作成にはテキスト、画像、動画等の他のコンテンツと比較しても時間がかかることが考えられるため、事前の熟慮が必要そうです。
いざ、本格的にARを作成するとなると、どのようにして開発を進めるのかが重要となってきます。
利用するSDK(Software Development Kit)やライブラリによってできることが違うからです。
例えば、今回サンプルプログラムとして利用しているAR.jsはWebARと呼ばれるタイプのAR向けのライブラリであり、マーカー型のARには対応していますが、マーカーレス型やロケーションベース型のARには対応していません。一方、下記のようなメリットがあります。
- 専用のアプリをダウンロードしなくてもブラウザ経由でARの体験ができる。
- 開発もマークアップ言語(例:HTML)でできるので、導入としては容易にできる。
WebARを利用する利点については下記の記事で詳しく説明されています。
AR普及の鍵はアプリ不要なWebAR×マーカー不要なAR?: CAPA from AKIHABARA
AR.jsを利用してWebARを作成するという方法以外にも、GoogleのARCoreやAppleのARtoolKitなど、ARを開発するためのSDKはたくさんあり、各SDKによって、マーカーレスやロケーションベース型のARにも対応している等、対応できる範囲が異なります。自分がARを利用して何を開発したいのか明確にした上で、どのように開発を進めるのか考えるようにしましょう。