学習履歴の分析方策と実習

Learning Analytics(LA)と呼ばれる分野が近年注目されています。学習効果の定量的な計測とその利活用を目指したもので、学習の質保証という観点からも重要性を増しています。

概要を把握するには以下等が参考となるでしょう。

上記した山川らの論文中で述べられていますが、LAでは、データ取得後、「解析」(Analytics)「して、Predictionをした結果は、Adaptation、Psersonalization、Interventationに利用されることが想定されてい」ます。

Analiticsに利用するデータは、実空間のものなども想定されていますが、eラーニングやLMSは、学習者の行動を履歴として残せる機能を本質的に有していることから、LAとは極めて親和性が高いといえます。この単元の目的は、「LMSのログデータを利用した学習履歴の分析」を体験してもらうことです。

大きくは、以下の流れで学習を進めて頂きます。

【タスクLA-1】 Moodleにおけるログの仕様を調査する

受講者にとって最も身近であるMoodleについて、活動記録であるログデータに蓄えられる情報の詳細な仕様を調査して頂きます。ログデータとして、Moodle上での受講者自身の今までの活動記録を提供します。活動記録(ログデータ)の取得方法はこちらを参照してください。

【タスクLA-2】Moodleのログを分析する

タスクLA-1で入手したログデータを解析して、受講者の学習状況推定の経験をしていただきます。具体的には、指定した情報を抽出してください。

【タスクLA-3】Moodleでの活動履歴データを利用して、分析したい内容を検討し、その方法を設計する

タスクLA-2では、ログから抽出する情報を担当教員側が指定しましたが、このタスクでは、受講者が学習状況を推定するために必要と思われる情報を検討し、その分析方法・抽出方法を詳細に設計してください。さらに、実際に分析・抽出し、その結果を報告してください。加えて、分析結果を集約して、自身の学習状況の振り返りを行ってください。

【タスクLA-4】「明らかにしたい内容」を実現する上で現状のMoodleのログで不足している情報を指摘する

タスクLA-3では、現在のログデータ、という枠組みの中で、「得たい情報」「推定したい状況」を設定し、その解析方法を設計して頂きました。このタスクでは、「現行のログデータ仕様」という枠組みを取り払った上で、「学習記録から明らかにしたい内容」を自由に検討してください。「夢物語」でも結構です。その上で、「明らかにしたい内容」を実現する上で、現状のMoodleのログで不足している情報を指摘し、どのような仕掛けを加えれば、その情報が取得・記録できるか、について詳細に設計してください。

なお、この単元では、分析のためのツール等は特には指定はしません。Excel、R、手計算等、使い慣れたツールを利用して頂いて問題ありませんが、当該科目の中でR言語を取り扱いますので、この分析もR言語を利用して頂くと効率的かと思います。

最終更新日時: 2019年 06月 10日(Monday) 12:35